—— 今回の別注は2色展開なんだけれど、美賀ちゃんはきっとベージュ地にネイビーの花柄が似合うだろうなと思ってお店にきたら、同じような色合いのビンテージのお皿があって。
「フランスの蚤の市で買ったヴィンテージのお皿だよ。確かに色合いが似てるね」
—— 元々この生地を選んだときも、磁器のティーカップとかにありそうな、クラシカルで普遍的な柄でいいなと思っていたんだけど、やっぱりすごくお似合い。
「うれしい。とってもかわいいし、さらっとしていて着心地がいいね」
—— どんなアイテムに合わせようと思った?
「この数日間どうしようかなって考えていたけれど、普段はピンクやベージュを着ることが多いし、ボイラースーツの地の色もベージュなので、奇をてらわずデイリーな装いにしてみました。白のエプロンにもしっくり馴染みました」
—— 普段の仕事着はどんな格好ですか?
「白が多いの。清潔感があって、背筋もピッと伸びるから。コーヒーのシミとかがすごくつくんだけれど、漂白しながら着ています」
—— ボイラースーツはワークウエアだから、仕事をしている人に着てみてもらいたいなと思ったんだけれど、どうでしたか?
「花柄が珍しくてかわいいね。普段も着たいと思ったし、ニットとも合わせやすくてかわいかった。肌触りがいいのもうれしい。普段は柄をはあまり着ないぶん、新鮮な気持ち」
—— 単色の小花柄ってドットやチェック・ストライプのようなベーシックさがあるから、他のアイテムとも合わせやすいよね。体を動かしてみてどうでしたか?
「違和感なく、動きやすかったよ。真夏以外の季節は使えそう。中をタンクトップ一枚にすれば春先にもいけるし、タートルネックを重ねれば冬もいけるね」
—— お店に飾っている花はどうやって選んでいるの?
「その日の気分。季節ごとに、たとえば春ならたくさんのチューリップ。自分で選んでいます。花屋に行くことも好きだから、なるべく店も家でも飾るようにしています」
—— 美賀ちゃんがよく〝あまやかし〟という言葉を使うけれど、このボイラースーツを花柄にした理由も、働き者の服だけど、ほどよくごきげんでいられるようにと思ったの。
「自分の機嫌は、自分でとりたいなといつも思ってるんだよね。甘いものを食べるでも、映画に行くでも、なんでもいいんだけどね。自分をあまやかしてあげる日は、とことんあまやかそうって思ってる。この花柄のつなぎは、店でも着たいけど、これを着て花を買いにいったり、喫茶店へコーヒーを飲みにいきたいなぁ」
—— しっかりした作りだけれど、気分は余白のある感じ。そのさじ加減に、その人らしさが表れてくれるといいなと思って作りました。
「いつも仕事のことばかり考えているから、ストイックになりがちなんだけれど、たとえばピンクのアイテムをよく選ぶ理由は、明るい服を着ることで気分のスイッチを切り換えたいから。ひとりで切り盛りしていると常にスイッチオンの状態だから、こうやって花柄を取り入れたり、香りや花で癒やされて、バランスを取るようにしているのかも」
—— お店の壁にもさりげない花柄があってかわいい。
「パリのアスティエ・ド・ヴィラットの内装に憧れて。一度花柄をローラーでペイントした後、自分でヤスリをかけて褪せた感じを演出してます」
—— MOON mica takahashi COFFEE SALONに訪れる人たちも、オフにする時間を求めてるのかもしれないね。
「仕事の合間のほっと一息つけるような空間を目指しているから、そう思ってくれるとうれしいな」
2018年6月より、新宿御苑の森の近くで、月の満ち欠けに合わせて喫茶店を営んでいる。現在は「おひとり様喫茶」を予約制で営業。月をモチーフにしたペアグラスやプレートなど、オリジナル商品も人気。
photo & interview : Akiko Kikuchi
text : Shoko Matsumoto