シルクモヘアで
編みたてた
花びらのようなニット。
混じりっけのない
柔らかな白は
きっと彼女に似合いそう。
花束を抱えるような気持ちで、編み立てほやほやのニットを抱えて向かったのは、暮らしとものづくりが隣り合わせにある街、台東区松が谷。「IFUJI the box tailor」で働くみどりちゃんを訪ねました。
—— このニットは山形の工場で作っているんだけどね。そもそもは、ふるさとの人と一緒にものづくりがしたいなと思ったのがきっかけだったの。ものづくりを通して、生まれ育った街と繋がれたらなといつも感じていて。
それを聞いただけで、もうじわーっと幸せな気持ちになるね。たくさんものが溢れた時代に、とっても響きます。
—— みどりちゃんは、東京にある「IFUJI the box tailor」 のスタッフとして、長野で製作している井藤さんや職人さんたちの作品と共にお店に立っているじゃない。遠くにいながらも、作り手の方々の想いを毎日身近に感じているよね、きっと。
そうなの!井藤さん率いる職人さんたちの想いや、ひとつひとつの工程や、ものづくりにかける情熱を尊敬しているの。
—— 「IFUJI the box tailor」のお店に入ると、すっと背筋が伸びるような凛とした気持ちになるのだけど、それはきっと、作り手さんたちのものづくりにかける真摯な想いでこのお店が充たされているからなんだろうな。
どのアイテムも細部まで妥協なく丁寧に作られていて、その素晴らしさを伝えるお仕事ができることが本当に幸せだなと思っています。
—— お店に立つ時の服装は、どんなことを心がけている?
「IFUJI」のものづくりに対する姿勢を体現できるように、私も作りの良いものを着るよう心がけているかな。あとは、お客さまに心地よく見ていただきたい気持ちもあって、なるべく白や黒などのモノトーンを意識しているかも。
—— 今回作ったニットは、「PETAL knit」という名前がついているんだけど、「PETAL」はフランス語で「花びら」という意味なんだけど、みどりちゃんはその名の通り「お花」のような人だなと思っていて。
ありがとう(笑)
—— お花が「咲く」って、お花にとっては凄くエネルギーを使うらしいんだけど、みどりちゃんはいつも自然体でふわりと穏やかに咲いていて。きっと似合うだろうなって。
自分で着てみて、とっても馴染むよ。襟の部分の紐をぎゅっと絞ると、襟元が詰まってたくさんドレープができて可愛いね。緩めに絞るとなだらかにギャザーが広がってそれもきれい。着方がいろいろできるっていいね。
—— 着る人、日常、きっとみんなさまざまだから、なるべく余白を残しておきたくて。自由に自分らしいバランスで着て欲しいです。
私は身長が低い方だから、このニットみたいに上半身にポイントがくるお洋服ってありがたい。バランスよく見えるのよね。しかもゆらゆらと揺れる襟がかわいい。
それにチクチクしなくて、とっても肌ざわりがいいね。シルクが入っているからかな。少しだけ透けている感じも、どこか大人っぽい。
—— チャーミングさと大人っぽさのさじ加減は、とても重要だよね。肌触りに関しては、年々敏感になっていく(笑)。どれだけデザインが気に入っても、ストレスを感じる素材は長時間は着られないから。
本当にそう。大人の肌は正直ですもの(笑)。お休みの日にはデニムに合わせても良いかも!
—— かわいい〜!
まだお店のオープンまで時間があるから、お茶でもしよっか。これ、近所の「ゆうひ堂」さんのお菓子とパン、良かったらどうぞ。木曜と土曜しか空いてないのよね。
—— わ、嬉しい!いただきます〜。この栗のパウンドケーキ、美味しい!そして井藤さんのお皿も、やっぱり美しい。おやつの時間も、お皿にこだわるとか本当にちょっとしたことでスペシャルな時間になるよね。
そうそう。お洋服にも、そういう力があるよね。今日は一日家から出たくないなぁっていう気分の日でも、このお洋服を着たいからちょっと出かけようかなとか、行動のきっかけになったりする。このニットも、そんな秘めたるパワーがあるなって思うよ。
—— まさに、ふわりと花開くお花のエネルギーみたいな、ね。みどりちゃんのお花のような笑顔に会えて、私たちもパワー頂きました。ありがとう〜。
インテリア、アパレル会社勤務後、2010−2020年 インテリア雑貨セレクトショップ「klala」を営む。現在は木工ブランド 「IFUJI」の東京直営店 「IFUJI the box tailor」 のスタッフ。彼女のナチュラルで穏やかな人柄にファン多数。
長野県松本市を拠点とする木工家「井藤昌志」による工芸ブランド「IFUJI」の東京直営店。
アフターサービスを最大限に行うIFUJIとお客様とを繋ぐ大切な窓口的存在。セミオーダーなども承っている。
東京都台東区松が谷2−15−8 ROOST BLDG1F TEL/03-5246-3345
OPEN :12:00-18:00( CLOSED ON TUE. & WED. )
photo & interview : Akiko Kikuchi Kazuyo Takiguchi
text : Akiko Kikuchi Kazuyo Takiguchi