JOURNAL.09TALK KUDOS DRESS
2024.02.26
KUDOS DRESSができるまで
オケージョンドレスは
キリリとした雰囲気が必要とか
華やかさはどこまで出すのがいいとか
色々な気持ちがせめぎ合うけれど
fofofofaが大切にしたいのは
自分の気持ちに寄り添うこと
オトナもコドモも
合言葉は「KUDOS・賛辞」
さり気なく、大胆に
たくさんの花を身に付けて
幸せな日を過ごしたい
そんな思いを職人さんに伝えながら
1着ずつ丁寧につくりました
GALLERY
ワンピースの生地は手触りがよく、ツヤのあるコットンギャバを使用。
祝福の日に花が咲きこぼれる オケージョンドレス
菊池:今回も服づくりのプロの皆さんから色々なことを学びながら、究極の1着が完成しました。アミ(浅野)さんは手仕事をふんだんにちりばめた“Slow Craft”をかかげるファッションブランド「BUNON」のデザイナー。私は以前からその服づくりに興味があって、このプロジェクトが立ち上がった時にアミさんに参加してもらえないかお願いしたのが始まりでしたね。
浅野:あっこちゃんから「こんなドレスをつくりたいんだけど、できるかな?」と相談を受けた時、普段はインドでものづくりをしていますが今回は国内でつくった方が良いなと思い、真っ先に思い浮かんだのがアパレルの生産管理をされている川森さんでした。いつも平常心で優しく、まさに“神様”のようなお仕事ぶりの川森さん。以前はデザイナーとしても活躍されていたから、話が本当にスムーズで。内容と納期を伝えたら、「いけると思います」って言ってくれました。
花のモチーフはひとつずつ手作業で形成している。
浅野:最初は花のモチーフはデザインイメージになかったけれど、最終的に大中小サイズの34個の花が大人のワンピースには付いて、デザインの要になりましたね。
菊池:特別な日に着たいワンピースを考えていたら、花の要素が欠かせなくなって。さり気なくも大胆な、“花が咲きこぼれる”というイメージでスケッチを描きました。大人は袖と裾に、子どもは花を背負っているようにみえるとかわいいなと思って配置しました。
高密度な生地を活かして、花の立体感を表現。
滝口:生地選びもアミさんと川森さんに色々なアドバイスをもらったね。fofofofaにとってオケージョンウェアという新しい挑戦だったし。
菊池:生地はいくつか候補があって、洗いをかけたりして検討した結果、コットンギャバになりました。ツヤがあって制服みたいでいいよねって。
川森:ギャバは打ち込みがよく、ハリがあるのが特徴です。バーバリーのトレンチコートに使われている生地として広く知られています。
菊池:コットンギャバのオケージョンドレスはあまりなさそうだけど、かといってカジュアルなドレスを作りたかったわけではなく、自分たちなりの正装のラインがココだったという感じだよね。
滝口:シワにならないように化繊でつくるアイデアもあったけど、花をたくさん付けることをイメージしたら「ちょっと違うな」となって変更したんだよね。ボディと花を同素材にしたので、花が生きているように見えるよね。
菊池:ファンタジーぽいというか。ディズニー映画に出てきそうな、命を吹き込まれたワンピースになった! 魔法的な(笑)。
花を咲かせてくれたのは この道47年の縫製職人
菊池:パターンが決まって縫製に出すタイミングで、縫製の登川さんに会いに行けて良かったですね。
川森:今回のワンピースは花を立体的に見せるのが難しい部分でした。手作業で手間もかかるので、縫製工場によっては受けてもらえない内容かと思いましたが、登川さんがすべて引き受けてくれて助かりました。
17歳から服飾業界で活躍する大ベテラン、登川浩二さん。 紳士服の裁断を企業で学んだ後、独立して縫製業を営む。
浅野:作業場にお邪魔した時、花の形成を色々な方法で試作したのを見せてくれましたね。
菊池:仕事の合間に近所の舎人公園を散歩して植物を観察したり、自宅の玄関で薔薇やマリーゴールドを育てていることも話してくれて。日頃から植物に触れているから、きれいな花がつくれるんだなと納得しました。
登川さんが育てたマリーゴールドから採集した種子。今年も4月に種を蒔くそう。
滝口:採集した種が作業場に置いてあったね。植物を愛している方にfofofofaの花を作ってもらえて嬉しかった。
浅野:登川さんに「ワンピースに付ける花の数が多いね」と言われたけど(笑)、あえて多めにしたんですよね。着るとすっと馴染むし、ちょうど良いバランスになりました。
菊池:フィッティングでは、アミさん、かずよちゃん、私の3人が着たけど、それぞれが似合っているなと感じました。ドレスの下の方に重みがあるから、コーディネートのバランスがとりやすいよね。
滝口:「オケージョンドレス」で検索すると、悪目立ちしないシンプルなアイテムがたくさん出てくるけど、実は私、そういうアイテムを避けていたんです。
菊池:色々なシチュエーションで着ることを考えると、シンプルなアイテムが好まれるのは納得ですね。だけど、fofofofaのオケージョンドレスには「主役はもちろん子どもだけど、ここまで頑張ってきた自分にも賛辞を!」「KUDOS TO YOU & ME!!」。そんな気持ちをこっそり、どっさり?込めています。
滝口:合言葉は「KUDOS・賛辞」。ドレスに込めたこの思いを共感してもらえる方に着てもらえたら嬉しいね。普段着る時は、スニーカーに合わせてもかわいいと思います。
菊池:カラータイツと合わせるのもいいね。キリリ特別な日にも、ちょいとおめかしの日にも。ワードローブに違和感なく馴染んでくれて、だけどとびきりスッぺシャルな、着る人によっていろんな種類の“華”を見せてくれる。そんなドレスですね。
足立区にある、縫製職人の登川さんの作業場で。
浅野:私がデザインするブランドは、毎回コレクションというかたちで発表しているので、全体を見ては足したり引いたりしてバランスをとっているんだけど、fofofofaの服づくりは“一着入魂”という感じが気持ちいいですね! 今回関わることができて楽しかったです。
滝口:そう思ってもらえて嬉しいです。服づくりは基本的に分業なので、それぞれの担当の方に直接会ってコミュニケーションをとる機会が実はあまりないですよね。リレーみたいな作業だから、次の人が受け取りやすいように思いやりを持ってバトンを渡さないといけないなって改めて思いました。
菊池:お互いのパートをリスペクトしながら、誰がどこでどんな思いで工程を踏んでいるのか、これからもしっかりと伝えていけるブランドでありたいですね。
photo & interview : Akiko Kikuchi Kazuyo Takiguchi
text : Yuka Nakano
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